緑色のところが封じ手
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投了図(▲5三角まで) |
遂に始まった名人戦。
先手番は振りゴマの結果丸山名人に。
居飛車の丸山名人に四間飛車の谷川九段という構図。
一日目が終わった段階では膠着状態。
消費時間は丸山名人がおよそ2時間40分、谷川九段がおよそ3時間50分。
58手目に谷川九段から仕掛けが入った二日目。
結局4筋のと金を生かした丸山名人が第一局を制す。
封じ手の画像があったので、下に掲載しておく。
今回は谷川九段が封じた。
緑の手が封じ手
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投了図(▲7二角まで) |
迎えた第2局。
丸山名人は得意の8五飛車戦法を採用。
これに対して谷川九段が角代わりを選択。
第1局同様谷川九段が封じて第一日が終了。
第1局に比べると初日の動きがあったといえよう。
2日目は丸山名人の大長考が2回(共に1時間50分程度)あったこともあり、谷川九段がかなり時間を余らせた。
丸山名人の猛攻をしのぎ、大量の持ち駒を生かした谷川九段が勝利を収め、タイに持ち込む。
勝敗の分かれ目となったのがどこなのかは少々分かりかねるが、4五にいる角を攻守両方に作用させたのが大きかったように思える。
対して丸山名人は攻め損じがあったのではないか?
途中までは駒得だったような印象を受けるので、やり方次第では連勝した気がする。
いずれにしても持ち時間に大きな開きが出来たのが痛かっただろう。
さて、今回も封じ手の画像があったので掲載する。
第1局同様谷川九段が封じた。
緑のところが封じ手
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千日手成立時(▲2九飛まで) |
1勝1敗のタイで迎えた第3局。
基本的な陣形が第1局と同じようになっていることもあって両者ともスムーズに手が進んだ。
第1局では谷川九段が9五歩を指さなかったために攻めあぐねただけに、今回は比較的早い段階で9筋をついていったのが大きな違いである。
いずれにしても一日目は膠着状態にて終了。
封じ手はこのシリーズでは初めて丸山名人が行った。
解説の森下八段によると「2六飛で間違いないだろう」とのこと。
場合によってはその後4四角>2九飛>3三角…と千日手になる可能性もあるようだ。
なお、初日の考慮時間は丸山名人2:43、谷川九段4:13とかなりの開きが出た。
第1局に同じような形から敗れた谷川九段がどう出るのかが注目される。
二日目。
前日に可能性がある、と言われていたとおり千日手になる。
厳密には千日手になっていないみたいだが、立会人の有吉九段が両者に「千日手でよろしいですか?」と聞き、両者合意のもと千日手となる。
もっとも、予想されたのとは少々違う千日手であるが。
この時点での残り時間は丸山名人5:03、谷川九段が4:36となっている。
なお、名人戦での千日手の成立は第40期の中原名人対加藤九段(肩書きは当時、このときは加藤九段が4勝3敗1持将棋2千日手で勝利)以来のこと。
今回の封じ手は丸山名人。
前2局のものと違ってやけに丸っぽい字で棋譜が書かれている。棋譜を書いたのは誰だろう?
緑は昼食休憩後、最初の手
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投了図(▲6二飛まで) |
先手、後手が入れ替わった指し直しの一局。
丸山名人が、敢えて谷川九段得意の角替わりの展開を選択する。
これにより、千日手とはうって変わった将棋になる。
昼食前に早くもコマのぶつかり合いがある。
昼食後、3七に上がった桂馬を中心に2〜4筋を上手く使って攻めていった谷川九段が次第に優勢となり、6二飛を見た丸山名人が投了。
投了時の残り時間は谷川九段が50分程度、丸山名人が3時間程度とかなり開いたが、終始攻め続けた谷川九段に凱歌が上がった。
丸山名人はせっかく作った馬を角と交換せざるを得なかったりして、攻めの拠点を作れなかったのが効いたように思える。
これで対戦成績は谷川九段の2勝1敗となった。
谷川九段が勝った2番は、いずれも100手以内の決着と手数の比較的少ない決着となっている。
やはり光速の寄せを生かすには、早い段階での決着が良いのだろうか?
緑色は封じ手
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投了図(▲9九飛まで) |
谷川九段の2勝1敗で迎えた第四局。
今回は丸山名人が居飛車穴熊、谷川九段は今回も振り飛車と言う形になった。
このシリーズでこういう形は初めてなので、2日目の動向が興味深い。
消費時間は丸山名人4時間ジャストに対し、谷川九段が3時間28分。
2日目。
2筋からの攻めを生かして丸山名人が優位に立つ。
結局丸山名人がそのまま押し切った。
見た感じだと、終始丸山名人の体勢有利で行っていたみたいだ。
谷川九段は封じ手前後の角の捌き方が苦しかったように思える。
これで2勝2敗。
勝負の行方はますます分からなくなった。
さて、今回の封じ手である。
封じたのは前局に続いて丸山名人。
封じ手読み上げの際にちょっとしたハプニングがあった。
本来なら下の通り▲5六銀と読まなくてはならないところで、▲5四歩と読んでしまった。
まあ、どうでもいいことだけど。
緑色が封じ手
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投了図(▲7一飛まで) |
名人戦も第五局。
これに勝利した方が名人位に王手をかけると言うこともあってとても重要な一戦である。
局面は谷川九段得意の角代わりを丸山名人が受けて立つ形。
角代わりは第二局でも行われたが、このときよりは両者とも慎重に進めている印象を受ける。
結局、この日は大きな動きのないまま丸山名人の封じ手となった。
羽生五冠によれば、「2二玉が最有力」とのこと。
なお、両者の消費時間は先手の谷川九段3:03に対し、後手の丸山名人が4:05。
やや開きがあるが、羽生五冠は「すぐに同じくらいになります」と言っていたので、これからが難しい局面なのだろう。
そして二日目。
4筋から突破を試みた谷川九段が徐々に優勢となっていく。
対する丸山名人も9筋から突破を試みるものの、谷川九段に押し切られた。
これまでよりも、コマの動きがおとなしいこともあってどの辺がポイントになったか少々分かりかねる。
これで谷川九段は名人返り咲きに文字通り王手をかけた。
あとがない丸山名人がどう盛り返すのか?第六局に期待である。
最後に、今回の封じ手。
3局続けて名人が封じた。
緑色が封じ手
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投了図(▲1一角まで) |
谷川九段が勝利すれば、その瞬間に第59期名人誕生となる第六局。
谷川九段は後手番で初めて横歩取りを採用する。
このため、今までとはうって変わった攻め合いとなっている。
38手目に谷川九段が角を打って飛車取りをかけたところで封じ手となった。
2日目は壮絶な攻め合いになるだろう。
名人誕生か、逆王手をかけるのか注目である。
明けて2日目。
予想通り谷川九段が2筋を中心に激しく攻めようと試みる。
対して丸山名人は9筋から少しずつ少しずつ攻めの拠点を作り上げる。
玉に近いのは谷川九段の方なのであるが、いかんせん駒が固まっているサイドなだけにかなりの駒損を強いられた。
結局、駒得を生かして谷川九段の攻めをしのぎきった丸山名人に凱歌が上がり、対戦成績は3勝3敗のタイになった。
ここまでの6局は全て先手番の勝利。
最終局は、改めて振りゴマを行って先手番を決めるので、この結果が大きな影響を及ぼしそうだ。
復位か防衛か。非常に楽しみである。
さて、今回の封じ手である。
今回も丸山名人が封じた。これで4局連続名人が封じたことになる。
緑色が封じ手
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投了図(▽4二金打まで) |
泣いても笑っても、これが59期最後の名人戦。
お互いに思うところはあり、絶対に勝ちたいはず。
注目の手番は振りゴマの結果(最終局は公正を期すため、改めて先手後手を決める)と金4枚で谷川九段の先手となった。
これまでの7回は先手番が6勝1持将棋と先手番が負け知らず。谷川九段には追い風か?
戦術は名人戦4度目となる横歩取り。
角交換をした35手目から急激に局面が進む。
その後39手目の谷川九段の8三角打に対し、丸山名人が3五桂で応戦。これが会心の一手である4六角打(指了図)につながり、谷川九段にとって厳しい局面となった。
結局1時間以上の大長考のまま、谷川九段が封じ手を行い初日が終了。
2日目も激しく動きそうな予感である。
なお、考慮時間は丸山名人2時間ジャストに対し、谷川九段は5時間6分とその差が大きく開いた。
防衛か、三度返り咲きかを注目したい。
そして注目の二日目。
封じ手の段階では体勢は五分五分だったようだ(素人目には丸山名人優勢に見えた)。
そこから、谷川九段が攻め合いを選択し、一気に手が進む。
丸山名人は2回ほど2時間を超す大長考(2:35と2:19)を行い慎重に読んでいく。
そして、62手目の2三香あたりから名人一歩リードと言った感じになったようだ。
そして午後9時40分ころに谷川九段が投了し、その瞬間に丸山名人の防衛が決まった。
谷川九段は丸山名人の思いきった手にやられた感じである。
最後は銀一枚に泣いた。
谷川九段の名人復位を願っただけにちょっと残念であるが、来年や他のタイトル戦での巻き返しに期待したい。
それにしても、最後の最後で後手番勝ちを納めた丸山名人は見事。
特に最終局の4五桂は鮮やかだった。
さて、最後の封じ手である。
今回は谷川九段が封じ手を行った。
これで第59期名人戦は全日程を終了。
すでに対局の始まっている第60期A級順位戦で挑戦権を獲得するのは誰なのか?
それはまた来年まで待つこととなる。
願わくば、谷川九段の再挑戦となって欲しいものだ。